2020/06/16
ありし日の姿によみがえるエンバーミングとメイク
本日は、「エンバーミングとメイク」に関するお話を掲載します。葬儀のキーワードで「メイク」は浸透してきましたが、「エンバーミング(Embalming)」は聞きなれない人が多いでしょう。訳すと「遺体衛生保全」。北米など土葬が基本な国では、衛生管理のための一般的な遺体処理方法です。
故人をありし日の姿によみがえらせる「エンバーミング」と「メイク」はご遺族の悲しみを和らげる技術でもあります。
1.エンバーミングの起源
北米のほか、イギリス、シンガポールなどでも一般的な遺体処理「エンバーミング」。
起源をさかのぼると古代エジプトのミイラまでたどり着きます。
・宗教的な観点から遺体の保存が必要であったこと
・ナイル川の氾濫で遺体が伝染病の発生原因になることを防ぐため
この2つが大きな理由です。
そして、19世紀のアメリカ南北戦争で、兵士の遺体を故郷まで輸送するさいに、エンバーミングが施されていたと記録されています。
理由は、「衛生面の良化・遺体の状態回復と復元・消臭・冷温処理が不要」のメリットがあるからです。
一般に一気に広まったのは、リンカーン大統領がエンバーミングされたことでしょう。その後、多くの有名・著名人が施されています。
2.日本での広がり
日本でのエンバーミング初の実施例は、1988年。当初は、外国人のエンバーマーによる処置が行われています。
そして、日本からアメリカに渡り、技術を学び、「エンバーマー」の資格を取得する技術者が徐々に増えていきます。
現在では、IFSA(日本遺体衛生保全協会)が基準を設け、技術者の育成を行っています。
また、処置のさいの小切開は、刑法190条「死体損壊罪」に抵触しないとする法的解釈にもとづいて実施されています。
エンバーミングに関しては、火葬率ほぼ100%の日本で必要なのかと当初は議論がありました。
しかし、1995年の阪神淡路大震災では、多くの犠牲になられた方々にエンバーミングが施されています。ご遺族、そして親しかった人々の大きな慰めになったのではないでしょうか。
3.メイクで美しい旅立ちを
病院で亡くなると、看護師が消毒や脱脂綿の処置を行います。そして、遺体は自宅や斎場へと運ばれ安置されます。
エンバーミングまで必要なくても、遺体の皮膚の状態は生存中とは全く異なります。闘病生活が長い場合は、できるだけキレイに見送りたいと思うのが残されたものの気持ちではないでしょうか。
メイクといっても、故人を偲ぶためです。
故人が使用していた口紅などや写真を参考に、家族に違和感を与えないのが腕の見せどころです。「死化粧師」とも呼ばれるメイク担当者は、プロの技術が必要です。
4.本記事のまとめ
エンバーミング、メイクともに需要が増加しています。
事故や闘病生活後の痛々しい状態での最後のお別れの遺族の辛さは、いかばかりでしょうか。
ありし日を取り戻し、見送ることのできる技術です。エンバーミングは、生前の本人か家族(二親等以内の反対がない場合)からのお申し込みが必要です。
検討されるさいは、ぜひ、ご相談ください。